反射分光式膜厚計とCCDセンサー、CMOSセンサーが関係あるのかと思われた方もいらっしゃると思いますが、関係は大いにあります。
CCDセンサーもCMOSセンサーも「イメージセンサー」と呼ばれるものです。イメージセンサーとは光センサーと呼ばれる物の一種で光の強度を検出して電気信号に変換するセンサーになります。
このセンサーの性能によって得られる情報(光の情報の細やかさ)が異なる為、反射分光式の膜厚測定の精度にイメージセンサーの性能は大いに関係してきます。
身近な物での使用例を挙げるならばデジカメにはイメージセンサーが使われています。このイメージセンサーのおかげで私たちは撮影した画像をデジタルデータとして扱うことができます。
さて、イメージセンサーという物がどんなものか大枠ではご理解いただけたと思いますのでここからはもう少し具体的な内容に入ります。
単刀直入に・・・
CCDセンサーとCMOSセンサーは何がどう違ってどちらの方がいいのか?
詰まる所、この疑問にたどり着くのではないかと思います。
CCDセンサーとCMOSセンサーの違いはレンズからの入ってきた光の情報を電気信号に変換する際の変換の仕方に違いがあります。概略はこんな感じです。
センサー種別 | 変換方式 |
CCDセンサー |
入ってきた光から受け取った情報を一度全部受け取った後、 読み込み変換していく方式。 |
CMOSセンサー |
入ってきた光から受け取った情報を受け取ったものから順番に 読み込み変換していく方式。 |
・・・という感じになった方もいると思います。私も始めの頃はわかりませんでした。 この違いは何を意味していてどんな違いがあるのか?比較した時の主な違いとしては・・・
センサー種別 | 強い点 | 弱い点 |
CCDセンサー |
・高画質 |
・電力消費大 ・処理速度遅 |
CMOSセンサー |
・電力消費少 ・処理速度速 |
・画質はCCDセンサーに劣る |
従来まではCCDセンサーにはCMOSセンサーに対して高画質という優位点があり主流だったようですが今のCMOSセンサーはその点も改善され、CMOSセンサーとCCDセンサーの画質の差はなくなってきています。
このため、今の光強度センサーの主流はCMOSセンサーとなっており、弊社の反射分光式膜厚計の検出素子もCMOSセンサーを採用しています。
ここまでお読みいただいた御客様、CCDセンサーとCMOSセンサーの違いが少しでもおわかりいただけたでしょうか?最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【CCDセンサー主流→CMOセンサー主流】の変遷で興味深い事実がありましたので、以下に引用、追記します。
CMOSセンサーが主流になる以前、イメージセンサーの主流はCCDでした。当時のCCDセンサーは飛行機のコックピットのカメラを主として利用されており、後にVTR一体型ビデオカメラに搭載されてからは民生用動画撮影カメラにおいて、ソニーのCCDが9割超えという圧倒的なシェアを誇っていたそうです。
カメラ分野において圧倒的なシェアを占めていたソニーですが、CCDセンサーよりもCMOSセンサーの方が静止画であっても動画であってもCCDセンサーより適していることが実はわかっていました。そして後の世で主流になるであろうCMOSセンサーにおいても圧倒的シェアを守り抜くためには、CMOSイメージセンサーでも世界一の技術力を保持することが必須と考え、そうある為の開発の道のりがそこから始まったのです。
しかし当時はまだCCDセンサーの方が良かったので・・・・。「やるからにはCCDセンサーの画質を凌駕し、他社をぶっちぎるCMOSセンサーを作るんだ!」というとてつもなく強い気概を持ち意気込んで取り組んだのです。そこから先の研究開発には当然ながら紆余曲折があります。そういう開発者の方々の努力があって現在のイメージセンサーの主流はCMOSセンサーとなり、私たちが使えるようになったというわけです。
もちろん、当社の反射分光式膜厚計のイメージセンサーは・・「CMOS」です。
こういう開発秘話というか背景も知った上で改めて装置を使用すると、なんか今まで知らずに使っていた時は違った感覚になりますね。
今まで以上に装置を大切に使っていこうと思います。
<引用文献>
著者名:斎藤 端
書名:ソニー半導体の軌跡
出版社:東洋経済新報社
出版年:2021/2/27